9月に、あるブラジル系ギタリストの出演するライブを観に行った。
その人の弦は明らかに劣化が分かるほど銅色に変色していた。
にもかかわらず、演奏は艶も憂いもあり素晴らしかった。
そして案の定一曲目で弦が切れた。
私はライブ中に弦を切ったことがない。切れる前に張り替えているからだ。ましてや、変色するまで使い続けるなどライブが無かったとしても、耐えられない。
さて、そのギタリストはステージ上で切れた第四弦を交換し、私はバランスが悪くなった低音を気にしながら、演奏の続きを聴いた。
けれども、そんな違和感はすぐに消え去って演奏に没頭し、非常に満足して帰った。
その、楽器に対する無頓着さと音楽に対するこだわりの対比があまりにも格好良すぎて私も真似してみた。
弾き続けていると、一ヶ月もしたら変色し音の響きが悪くなる。
立ち上がりや抜けの悪さに耐えられなくなる。
やっぱり私には無理だ。
替えよう。
人は人、自分は自分。
でも、自分とは何なのだろう。