今年はじめての雪山へと出かけた。
家から電車で二時間で麓までいくことができる、冬のホームグラウンドだ。
武奈ヶ岳という名のこの山はその名の通りブナの原生林が美しく、街からも離れているのでとても静かな山なのだ。
また、豪雪地帯で冬になるとかなりの積雪になる。
何度も登っているこの山。雪があるのとないのとでは体力の消費量が全く違う。
特にこの山はよく降る割に気温がそれほど低くならないので雪が締まらない。一歩踏む毎に膝辺りまで沈む。
割りと平坦な道でも一歩が一段なのだ。だから登りとなると一歩の高さがすさまじい。
悲しいことに、自分の重すぎる体重のせいで人が踏んでいって固められた雪面さえも、踏み抜く。
そんな雪との格闘の末に立つ山頂は格別で、この日は天気もよく今までで一番いい景色だった。
昨年は山頂まで辿りつけなかった。自分の前に歩く人がいなくて、未踏の斜面をラッセルしながら歩かなければならなかった。それはまるで雪の中で溺れ、もがいてるような姿で登ったのだが、あとひと踏ん張りの所で力尽きた。
悔しかったけれどそれでも楽しかった。それに、あとから登ってきた人たちに感謝されるのだ。誰ひとりとしてそれること無く僕の歩いた踏み跡を歩いて登ってくる。なぜなら踏み抜かないからなのだ。
「道を開く」ことは困難で、もしかしたら自分一人では目的が果たせないかもしれない。
けれどもそれはもっとも価値のある事だと思う。
たとえ、自分の切り開いた道を踏んで後の人がより先に進めたとしてもきっとそれでいいのだ。
そういう生き方をしたいなと思ったのが昨年。
で、ソロギターのアルバムを制作する意志が固まった。
決して誰もしてないことをしてるわけではないのだけれど、誰の真似もしてないことだけは自信を持って言える。
山は行くたびにいろいろなことを教えてくれる。それを活かすためにも山は生きて降りないと。
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